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カナダでのリタイアメント: RRSP: 口座開設

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RRSP 口座

RRSP の口座の種類、口座を開設する際の考え方等についてまとめてみましょう。

Group RRSP (グループRRSP)

ある程度の規模の雇用主の元で働いている場合は、雇用主がいわゆる「Group RRSP」を福利厚生の一部として提供している場合があります。これは、雇用主が特定の金融機関と提携していて、会社を通じて社員にRRSPの口座を持たせ、給与の一部から希望の額を自動的にRRSPに拠出することができるという仕組みです。
この場合は、特に個人で口座を開設する必要はなく、全てが人事部 (HR) を通して行われるのが一般的でしょう。毎月/隔週の給与から何ドルあるいは何%をRRSPに拠出するように設定するのか、またその提携先の金融機関が提供する運用方法 (主に投資信託など) の中から何をどう選択するのかなどは、もちろん自らが設定することができます。
雇用主からのMatch (積み増し)
Group RRSPでは、雇用主がRRSPへの拠出の積み増し (Match) をしてくれることが多くあるということが、最大の利点です。例えば、自らが毎給与時に拠出する額と同額を雇用主が拠出してくれる (100% Match)、あるいは年収に対して決まったパーセント分を、雇用主が毎給与時に拠出してくれる...など、Matchのルールは様々ですので、まずは雇用先のHRに、「Matchは提供されているのか」だとしたら「どのようなルールとなっているのか」という点を確認しましょう。
確実に言えることは、もし雇用先がMatchを提供している場合には、絶対にこれを利用するべきであるという点です。Matchとは、リタイアメントの資金を雇用主が給与とは個別に援助してくれているシステムであると理解することができます。ルールを理解し、最大限のMatchを受け取れるよう努力をしましょう。

Individual RRSP (個人RRSP)

雇用主が提供するGroup RRSPとは別に (雇用主を通してGroup RRSPをすでに所持しているとしても)、Individual RRSPとして各種金融機関に個人RRSP口座を開設することはいつでも可能です。各種金融機関は、TFSAやRESPなどと同様に、口座の種類のひとつとしてRRSPを扱っていますので、新規口座を開くのと似たような手続きで、RRSPの口座を開設することができます。
個人RRSPの運用は、各種金融機関が提供する投資商品を通して行うことになります。したがって、投資商品そのもの好みを元に、金融機関を選択することも出来るでしょう。また、日々すでに取引をしている銀行にRRSP口座を開けば、拠出手続きやポートフォリオの管理なども比較的スムーズに行えるでしょう。

Group RRSP vs. Individual RRSP

Group RRSPとIndividual RRSPを使い分ける、あるいは両方所持することに利点はあるのでしょうか。
  • 雇用主がGroup RRSPを提供してくれていて、ましてMatchを提供してくれている場合は、RRSPに関しては全てGroup RRSPを通して拠出及び管理を行うことが良いと言えるでしょう。
  • Group RRSPを通してMatchを最大限に受け取っている上で、どうしてもIndividual RRSPを通してでしか利用できない魅力的な投資商品が別にある場合などに限っては、あえてその金融機関にIndividual RRSP口座を開くことも良いでしょう。
  • 転職や離職に伴って、それまでの雇用主が提供するGroup RRSPを利用できなくなるような事態となることもあるでしょう。その場合には、Group RRSP口座からIndividual RRSP口座に移行する必要があります。頻繁に転職をするような境遇にいる場合などは、手続きの面倒さを理由に、Individual RRSP口座のみの所持を好む場合もあるでしょう。だとしても、それだけの理由を元に、雇用主からのMatchを逃すというのは、あまりに勿体のないハナシです。
リタイアメント資金の捻出と積み立てという、長期的なゴール/目的を見据え、適切な選択をするよう心がけましょう。

次項で詳しく触れますが、年毎に設定されるRRSPの拠出限度額は常に個人で把握しておく必要があります。当然、複数のRRSP口座を所持しているからといって、拠出限度額が増えるようなことは一切ありません。拠出額の管理という意味においても、むやみ口座を増やしてややこしくすることなく、ある程度まとまったかたちで管理できることが理想と言えるでしょう。