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カナダでの投資: はじめに

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

「投資」と聞くと、すぐに株やFX、あるいは不動産などを連想し、自分には関係のない世界のハナシ、あるいはリスクが高くギャンブルのようなものと考えて、敬遠してしてしまう人も多いでしょう。しかし、特に未来に向けての資産形成という観点でパーソナルファイナンスを考えた場合、自身の資産の中にいわゆる「投資商品」を組み込むことは、極めて一般的かつ合理的な判断です。
ここではまず、「投資とは何か?」(What)、「なぜ投資をするべきか?」(Why)、「どう投資をするべきか?」(How) という観点から、要点をまとめてみましょう。

投資とは何か?

「投資」という言葉を辞書で引くと
  • 利益を得る目的で事業・不動産・証券などに資金を投下すること。
  • 比喩的に、将来の利益のために金銭を投入すること。
などといった説明があります。
「事業・不動産・証券...」と聞いた時点ですでに尻込みしてしまうかもしれませんが、もう少し単純に言葉の意味だけを捉えてみましょう。
目の前に$10,000の資金があったとします。この資金をただ持っていただけでは永遠に$10,000のまま。代わりに、この資金を「将来価値が上がると予想されるもの」に費やし、未来のある時点で、結果的に$10,000以上の価値にすることが目的。これだけの単純な定義です。
金利がほぼゼロなことが普通になってしまっている日本の銀行の定期預金を鑑みると想像しづらいかもしれませんが、1%~5%の金利で推移しているカナダの定期預金 (GIC) も、立派な投資商品です (実際、「GIC」の「I」は「Investment=投資」の「I」で、投資商品の筆頭としてリストされていることが一般的です)。
  • $10,000の資金を10年満期の定期預金に投下し、10年後確実に$13,000にする
  • $10,000の資金を投資信託購入に投下し、10年後$25,000にすることを期待する
両者の間には「リスク」の程度の違いがあるだけで、定義上はどちらも「投資」行動であることには変わりはありません。

なぜ投資をするべきか?

もちろん資産をより多く増やすことを目的とし、リスク管理をしながらもより高いリターンを求めることも重要ではあります。しかし、ことパーソナルファイナンスというレベルで考えるのであれば、もう一歩下がって、より基本に立ち返った見方からの「なぜ」をまず考慮する必要があります。
前節に「$10,000の資金をただ持っていただけでは永遠に$10,000のまま...」とありますが、厳密に言うのであればこれは正しくありません。消費者物価指数などを指標にするいわゆるインフレ率。カナダにおいても、日本や他の先進国同様毎年2%程度を目標としています。つまり、全てのモノの値段は一年につき2%程度上がることが想定されているわけです。そしてそれは同時に毎年「貨幣の価値が下がる」こと、つまり「同じ貨幣で買える物が少なくなる」ことを意味します。
例えば2020年に$12で食べることができた日本食レストランのラーメン。同じ$12を10年間手に握り続けていたとしたら、2030年にはそのラーメンは食べられません。なぜならその時点でその全く同じラーメンはおそらく$15に値上がりしてしまっているからです。いや、ラーメンだけでなく、同じく2020年に$12だったものは総じて2030年には$15程度になっていることでしょう。つまり、今現在の$12は10年後には$12分の価値が無いわけです。
この「インフレ率に追いつくため」という一点において、あなたの資産は「最低でも年率2%を目標に増やされるべきである」と言えるわけです。そしてそのためには、実質的に投資と言う選択が不可欠となります。

どう投資をするべきか?

カナダにおいては、制度として投資をしやすい環境が非常に整っているといえるでしょう。
目的にあった投資環境の形成という意味において
  • 老後/リタイア後の生活のための資金形成には RRSP
  • 子供の教育のための資金形成には RESP
  • 住居購入のための資金形成には FHSA
  • その他の資金形成には TFSA
といった箱がまずしっかりと用意されています。そして、それぞれにおいて主に投資信託やGIC、あるいは株式への資金投入が容易にできる環境が整っています。
上記4つの「箱」(または「制度」) は、全て運用益が非課税となるという大きなメリットがあり、「Registered Account」と呼ばれる種類のアカウントとなります。まずはこれらの制度を有効に使わない手はありません。各種アカウントをすでに保有しているのであれば、その中で利用できる投資商品を吟味してみましょう。