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カナダの税金: タックス計算の基礎 3

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックス計算の概要 - 続き

総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額

③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額

⑤税額 - ⑥Taxクレジット = ⑦確定税額

⑦確定税額 - ⑧支払い済み税額 = ⑨タックスリファンド or 追加徴収


②控除額 (deductions)

  • タックスファイリングにおける「控除」とは、所得税率で掛け算をするの段階で、課税対象所得額そのものを減らすために総所得額から引き算 (deduct) することのできる項目の事を指します (対して「Taxクレジット」(後述) とは、所得税率で掛け算をしたの税額そのものから引き算することのできる項目の事を指します。 用語として、この切り分けが曖昧となっている資料も多く、注意が必要です)。以下にいくつか代表的/一般的な控除項目例を示します。

    RRSPへの拠出
    多くの場合、控除額の大半を占め、課税対象所得額の変動に最も影響を与えるのは、RRSPへの拠出となるのではないでしょうか。RRSPへの拠出額は、そのまま総所得額から引き算することができるので、最終的なタックスリファンド/支払い額にも多くの影響を与えます。

    当該年のRRSPへの拠出限度額は、前年のタックスファイリング時に発行される「Notice of Assessment」内の (A) の項目に明記されています。


    課税対象所得額を最大限減らすためには、もちろん拠出限度額目一杯までの拠出をすることがベストですが、「前年の所得額の18%」として設定される拠出限度額は決して少ない額ではありません。あくまでできる範囲の拠出で、課税対象所得額を減らす努力をするようにしましょう。

    FHSAへの拠出
    2023年から始まったFHSA (First Home Savings Account) の制度。FHSAへの拠出額は、RRSPへの拠出と同様にそのまま総所得額から引き算することができます。一年につき最大$8,000 (繰越し分を含めると最大$16,000)、生涯合計で40,000の拠出。拠出資格があるのであれば、積極的に利用し課税対象所得額を減らす努力をするようにしましょう。

    Child Care Expenses
    自身または配偶者の就労や就学のために、子供をいわゆるケアギバーやデイケアプログラムに預けるために費やした費用は、Child Care Expenses控除として申告することができます。ほぼフルタイムでケアギバーを雇っていたりデイケアを利用している場合などは、控除として利用できる額も相当のものとなるでしょう。忘れずに申告するようにしましょう。

    キャピタルロス
    キャピタルゲインが総所得額の一部となっている場合で、同時にキャピタルロスが存在する場合は、その分の額をキャピタルゲインから相殺して、課税対象所得額を減らすことができます。
    このキャピタルロスの額を使った相殺は、当該年に発生したキャピタルゲインに対してだけではなく、過去3年または未来のキャピタルゲインに対して利用することができますので、個々の投資収損益の状況を鑑みて、効率的に利用することができます。


③課税対象所得額 (Taxable Income)

  • 総所得額から各種控除額の合計を引いた額が、課税対象所得額となります。
    総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額
    この課税対象所得額を最終的にどこまで抑えるべきかというのは、次の所得税率の税区分 (Tax Bracket) の仕組みと深く関わってきます。

④所得税率 (Income Tax Rates)

  • カナダの所得税の税率は、いわゆる累進課税 (超過累進税率方式)。つまり所得額が多いほど、その多い分に掛かる税率が高くなります。
    例えば2023年の連邦所得税率の税区分は以下の通りとなり、

    課税対象所得額税率
    $53,359 以下15%
    $53,359.01 以上 $106,717 以下20.5%
    $106,717.01 以上 $165,430 以下26%
    $165,430.01 以上 $235,675 以下29%
    $235,675.01 以上33%

    例えば課税対象所得額が$120,000だった場合、

    $120,000のうち...したがって..
    $53,359 以下
    の分に適用される税率が15%
    $53,359 x 15% = $8,003.85
    $53,359.01 以上 $106,717 以下
    の分に適用される税率が20.5%
    ($106,717 - 53,359) x 20.5% = $10,938.39
    $106,717.01 以上 $120,000 まで
    の分に適用される税率が26%
    ($120,000 - 106,717) x 26% = $3,453.58
     合計税額 $22,395.82

    となるわけです。
    翻って考えると、もし自身の課税対象所得額が税区分の区分けボーダーラインに近い額であった場合、(控除を適用させるなどで) なんとかして課税対象所得額を一つ下の税区分内に収める努力をすることによって、低い税率を適用させることで税額を低く抑えることができる、と言えるわけです。

⑤税額

  • 課税対象所得額に対し上記の累進課税の税率を適用させて導き出されたのが、(確定前の) 税額となります。
    ③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額