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カナダの銀行: e-Transfer

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

自分名義以外の各種金融機関の口座へ向けて振込み/支払い/送金をする際、例えば日本だと、相手方の銀行名、支店名、口座番号、口座名義等々の情報を一つ一つ入力するなど、比較的面倒な手続きとなるのが常です。カナダにおいては、それらの手続きを一気に簡素化する、「e-Transfer」というサービスが提供されています。その手軽さから、主に個人間での金銭のやり取り等に頻繁に使われる、この「e-Transfer」についてまとめてみましょう。

e-Transferとは

「e-Transfer」とは、カナダにおける Debit カードのネットワークシステムである「Interac」が提供するサービスのひとつで、個人アカウント (または法人アカウント) 間での金銭の受渡しを簡素に実現させるものです。利用者は、送金したい相手のメールアドレス (または携帯電話番号) のみを入力するだけで、振込み/支払い/送金手続きを完了することができます。
Interac ネットワークに参加している金融機関に口座を持っていることが、このサービスを利用できる条件ということになりますが、6大銀行はもちろんのこと、中小あわせて 180 を超える金融機関がこのネットワークに含まれるため、事実上「カナダの金融機関に口座を持っていれば利用できる」ということが言えるでしょう。
注意: 言い換えると、このサービスは、あくまでカナダ国内の金融機関間でのやり取りをターゲットにしたサービスであると言えます。例えば日本の金融機関とのやり取りのような用途は想定されていません。
* 厳密に言えば、Western Union を介しての国際送金は可能。ただし本項では扱いません。
Interac が提供する e-Transfer というシステムそのものに関しては、その利用は無料です。しかし、各金融機関において、そのサービスの利用に対して手数料等が掛かるか否かは、各金融機関の各口座によって異なります。「e-Transfer 送金手続き無制限完全無料!」と謳っている口座もあれば、「5回まで無料、それ以降は$1」などと設定している口座などもあります。自分の利用している口座での、e-Transfer サービスに関する詳細をしっかりと把握しておくようにしましょう。

e-Transfer の使い方

注意: e-Transfer では、「金銭がメールによって転送される」という言い方で説明されることが頻繁にありますが、正確ではありません。メール (または携帯電話テキスト) によって受取り側に送られるのは、あくまでその転送された金銭を受取るための手順案内情報 (リンク) です。
« 送り手側の手順 »
  1. オンラインバンキングにログイン。「『e-Transfer』による送金」を選ぶ。
  2. 以下の項目を指定する。
    • 送金に利用する (自分側の) 口座
    • 送り先相手の名前
    • 送る金額
    • 送り先相手のメールまたは携帯電話番号
    • Security Question (セキュリティクエスチョン) とその Answer (答え)
  3. 送金!
「Security Question とその Answer」とは、送り手と受取り手だけがわかる暗号のような用途で使われます。
例えば、喫茶店での割り勘分を e-Transfer によって相手に払う場合など、
• Security Question =「今日行った喫茶店の名前」
• Answer =「TimHorton」
などと指定するわけです。
Security Question の Answer そのものやヒントなどを直接相手に伝える必要がある場合などは、送金手続きとは関わらない個別の方法 (口頭、電話、個別のメール、個別のテキスト等々) にて行うことが賢明です。間違っても、Security Question 内に Answer を直接書くようなことはしないようにしましょう。

重要:
送り先側の設定 (特に送り先が個人ではなく会社/企業/団体等の場合) によっては、Security Questionの指定の必要がない場合があります。その場合は、送り先メールアドレス情報をもとに紐付けされて表示される、送り先の詳細情報が正しいことをしっかり確認しましょう。
« 受取り手側の手順 »
  1. メールまたは携帯電話テキストにて、送金がなされた旨の通知を受取る。
  2. 通知内のリンクを開き、受取り先として利用する (自分が口座を持つ) 金融機関を選択する。
  3. 表示される Security Question に対する Answer を正しく入力する。
  4. 受取り先となる口座を選択する。
  5. 受取り完了!
    * Answer は3回間違えるまで入力可能。3回以上間違えた場合は自動的に送金自体がキャンセルとなる。

e-Transfer の注意点

普段からキャッシュを多く持つ習慣がない人などにとっては、外出先での友人/知人間での簡単な貸し借りに対する支払いなど、e-Transfer が活躍する場面は多くあります。また、オンライン上で友人/知人とのやり取りに乗じて発生した支払いの機会などに際しても、e-Transferが最も手軽な方法となる場面は多くあることでしょう。
しかし、e-Transfer はその手軽さゆえに、常にあの手この手でフィッシング詐欺等のターゲットとされてしまっている現実があるという点を、しっかりと気に留めておく必要があります。「オンラインバンキングに不正ログインされてしまった結果、勝手に e-Transfer で送金がされていた」「メールアカウントに不正ログインされてしまった結果、勝手に受取り手続きがされていた」「覚えのない受取り通知メールのリンクを開いた結果、アカウント情報が盗まれた」..等々。
頻繁に利用するようになればなるほど、個々の手続きに対する確認や注意が散漫になりがちです。手続きを行う相手、金額、受取り作業の進捗等々、全ての送金/受取り案件において、しっかりと管理/確認を行うよう努めましょう。